キング・オブ・コメディ(1983年)
あらすじ (ネタバレ)
ざっくり、あらすじ
コメディアンを目指しているパプキンは、有名コメディアンのラングフォードがスタジオから出て来るのを待ち伏せ、自分を売り込む。ラングフォードは、しつこいので仕方なく事務所に電話する様に言って別れた。
その後パプキンは何度も事務所に訪れるが会って貰えない。片思いの女性リタを連れてラングフォードの別荘に行くが、約束していないので相手にされない。ラングフォードはカンカンになって二人を追い出す。
驚いた事に、パプキンはラングフォードを誘拐する。彼は、ラングフォードのコメディ番組に出す様に脅迫するのだ。
脅迫は成功し、パプキンはコメディ番組に出演し、持ちネタを披露するのだ。
脅迫してまでTV番組に出ようとした目的が警察には分からない。
パプキンは、片思いの女性リタの務めるバーに行き、テレビをつける。そして自分の出演した番組を誇らしげにリタに見せるのだ。
「有名になっても君のことは忘れないよ」と言葉を残して、パプキンは警察に連れられて出て行く。
詳しく、あらすじ
ラングフォードとの交渉
ジェリー・ラングフォードが、彼の冠番組「ジェリー・ラングフォード・ショー」が終わりスタジオから出るとファンの群に取り囲まれました。
彼が車に乗ろうとすると、熱狂的な女性ファンが車の中にまで入ろうとします。
ルパート・パプキンは女性を追い出し、代わりに自分が車の座席に座りました。
彼は30代半ばのコメディアンです。
彼は、ラングフォードに自分は才能があると売り込みます。ラングフォードは断りますが、しつこいので仕方なく自分の事務所に電話する様に伝えます。
パプキンは喜び、いつか食事を奢りたいと言って二人は分かれるのです。
ラングフォードの代役?
パプキンとラングフォードは二人は食事をしています。
ラングフォードが、番組に出るのが辛いので6週間だけ番組を代わって欲しいとパプキンに頼みのです。
パプキンは、友達だからって無理だよと断りますが、ラングフォードが懇願するので受け入れます。
何か変ですよね。気が付きましたか?
15年の片思い
パプキンは有頂天です。バーに入って行きました。
リタ・キーンと言う女性が働いています。
「覚えているかい?」
と尋ねデートに誘いました。リタは高校生の時の友人でした。
二人は食事をします。パプキンはサイン帳を見せ今まで会った芸能人の話をしました。そして、ラングフォードの番組に出る事をリタに言いました。
パプキンは自慢をして喜んでいますが、リタは訝しげな顔をしています。彼女は信じていない様です。仕事があるからと出て行こうとします。
「あなたの目的は?」
とリタが尋ねると、パプキンは
「君を愛している。君の生活を変えてあげたい」
と答えました。
ラングフォードに会いに行く
パプキンは、ラングフォードの事務所に電話しますが、会議中と言ってラングフォードは出ません。パプキンはラングフォードの事務所に乗り込みます。
ラングフォードの秘書のキャシー・ロングに会いますが、ネタを吹き込んだテープを持って来たら検討したいと言います。
パプキンは自宅でネタをテープに吹き込んで事務所に持って行きました。秘書のロングは、明日結果を連絡すると言います。
ラングフォードが絶賛する才能?
ラングフォードとパプキンが話をしています。
ラングフォードは「君は天才だ。こいつがそれを証明している。その才能から逃れる事は出来ない」と絶賛です。「週末、別荘に来ないか」とまで言います。
上手く行き過ぎですよね?
パプキンのテープ
パプキンが事務所に来て受付で待っています。
パプキンは、ラングフォードの番組に出て花嫁衣装のリタと結婚式を上げる妄想をするんです。
秘書のロングが来ました。
「あなたのテープを拝聴しました。ずばり言って光ものをお持ちです。勉強を続けて生のお客の前に立ってみる事です。出演する時は連絡を。うちの者を見にやらせます。」
と程よく断ります。
パプキンは、ラングフォード本人にテープを聴いて欲しいと受付で待ちますが、警備員に連れ出されます。
外に出ると、女性がやって来ました。あのラングフォードの車に乗り込もうとした熱狂的なファンです。
「ラングフォードは中にいるわよ」
パプキンは事務所の中に入って行きました。どんどん中に入って行きます。ラングフォードはいましたが隠れていました。警備員が来てパプキンを連れ出しました。
別荘に訪問する二人
パプキンはリタと一緒に列車に乗り、ラングフォードの別荘に行きました。二人とも綺麗な服装を来ています。
呼び鈴を押すと執事が出て来ました。執事は驚いています。約束は?と尋ねますが、
「約束はしていない。飛び込みの客だ」
と言ってズカズカと中に入って行きます。
パプキンは中にある家具を触り、リタは踊り出す始末です。
執事ジェノと妻は怪しげの見ています。
ジェノはラングフォードに電話をしました。
ラングフォードが別荘に帰って来ました。
パプキンは色々と親しげに話し掛けますが、ラングフォードは黙ったままです。顔からは怒りの表情が見えます。
「逮捕されたいのか?」
「もちろん僕らは場違いな人間だ。逮捕か。上手いジョークだ。”友達を週末に招待して留置場に送り込んだ”いいね。最高だよ」
ラングフォードは怒っています。
「この家から出て行け。今すぐにだ」
ラングフォードを誘拐
パプキンと女性が車で待っていました。女性はあの熱狂的なファンです。
ラングフォードが出て来ると車で後をつけ、誘拐しました。
ラングフォードは目隠しされて縛られています。女性は銃を突きつけています。
パプキンはプロジューサーに電話するように言いました。
電話をすると、銃で脅されていて今夜の最初のゲストで”キング”を使うように指示させました。
電話が終わった後、ガムテープでグルグル巻きにしました。
パプキン、スタジオへ
番組のスタジオで揉め事が起こっている隙に、パプキンがスタジオに入って行きました。
パプキンは挨拶をして回ります。秘書のロングもいました。
「僕がキングです」
楽屋では、パプキンの他に、FBIのグリティ部長、市警の刑事がいます。
グリティは、取り調べを始めました。
しかし、パプキンは打ち合わせをしてメイクを始めました。
番組が始まりました。
パプキンの書いた台本に合わせて、司会者が番組を進行させます。
「最初のゲストは、世間を騒がせる事必死の才能の持ち主。ご紹介します。新しいコメディの王、ルパート・パプキン!」
パプキンが登場します。
誘拐の理由
番組が終わりパプキンが戻って来ました。
グリティ部長がパプキンに尋ねます。
「何故こんな事をしたのか説明してくれ」
パプキンは
「出かける時間だ。行けばわかる」
と言って出掛けます。
パプキンの愛
リタのバーです。
パプキンはテレビを点けます。
ラングフォードの番組が始まりパプキンが登場しました。パプキンは誇らしげにリタの方を見ました。
「皆さん、こんばんは。私の名はルパート・パプキンです。」
テレビではパプキンがジョークを披露しています。
番組が終わり、バーの客に酒を振舞います。
「有名になっても君を忘れないよ」
とリタに言って、グリティ部長とバーを出ました。
テレビでニュースが流れます。
パプキンが獄中で書いた本が爆発的に売れ、芸能界に復帰しました、と。
【パプキンのコメディシーン(英語)】
感想・考察 (ネタバレ)
ずっとヒヤヒヤしました
『ジョーカー』の監督が影響を受けたと言うので観ました。
この映画は、ドラマなのですが最後までヒヤヒヤしっぱなしでした。
ラングフォードに相手にされていないのは、すぐ分かるし、無理やり事務所や別荘に押しかける。
それだけでもヒヤヒヤするのに、事もあろうにラングフォードを誘拐してしまう。
観ている方が辛いです。
しかし、脅迫したしたとは言え、テレビに出ている姿を片思いの彼女リタに見せた時は、とても嬉しい気持ちになりました。
何故、ラングフォードを誘拐したのか?その理由は?
なんでラングフォードを脅迫して番組に出るんだろうと、観ていたら誰でも思うでしょう。テレビに出たいだけで誘拐をするのだろうか。誘拐してまでもテレビに出た理由が最後で分かるわけですよね。
それは、リタへの愛です。
リタに良い所を見せたかった訳です。
別荘に行ってリタの前で大恥をかいて”どん底”に落ちた。でも、リタには格好をつけたい。
そこで、ラングフォードを誘拐してテレビ番組に出る計画を練った。
誘拐した後、番組に出演して、バーに行ってリタに番組を見せる。
逮捕される事なんか分かっていたはずです。
「どん底で終わるより一夜の王になりたい」
と言っていますが、それは、リタだけの”一夜の王”なんですね。
去り際に「有名になっても君のことは忘れないよ」と格好をつける訳です。
嘘をついても無茶をしても、好きな女性の前では格好をつけたいですよね。
男性なら気持ちは少しは分かるんではないでしょうか。
(『ロッキー』だってそうでしょう。好きな女性に格好つけたい為に、勝てる訳もないのに何度も何度も立ち上がるでしょう)
僕はこの映画は、不器用な男の「一世一代の恋の物語」と思います。
パプキンの妄想癖
パプキンには妄想癖があるようです。
ラングフォードに6週間番組を代わって欲しいと言われたのは妄想でしょう。
「君は天才だ。こいつがそれを証明している。その才能から逃れる事は出来ない」と絶賛し「週末、別荘に来ないか」とラングフォードに言われたのも妄想でしょう
ラングフォードの番組に出て花嫁衣装のリタと結婚式を上げるのは当然妄想でしょう。
別荘に行った時の様子を見ると、妄想と現実の区別がつかないようにも思えますが、リタの前で格好をつけたかったのだと思います。(ラングフォードが怒っている姿は、本当に怖かったです。。。)
(行動が異常すぎますが。。。)
ラストシーンは妄想なのでしょうか?
さて、最後のテレビのニュースで、パプキンの自伝が大ヒットし映画も作られ芸能界に復帰する話は妄想なんでしょうか?
あまりに上手く行き過ぎですよね。
妄想ではないかと疑いたくなります。
でも、誘拐して番組に出演したのはショッキング過ぎる事件なので、現実的にあり得るのではないでしょうか。
僕は、現実だと思いたいです。
だって、ハッピーエンドの方が良いでしょう。
映画『ジョーカー』への影響は?(『ジョーカー』のネタバレあります!)
『ジョーカー 』の監督が影響を受けたと言っていますが、観たらハッキリと分かりますよね。その分も楽しめました。
ラストでは、パプキンが番組で、自分の人生をジョークにして話しています。これが『ジョーカー』の中心のアイデアなんだと思います。『ジョーカー』のラストでは、ジョーカーが精神科医に自分の人生を話しています。
細かな所では、主人公の妄想癖のある所とか「キングと紹介してくれ」と「ジョーカーと紹介してくれ」とかですね。主人公のロバート・デ・ニーロが『ジョーカー』では、コメディ番組の司会をしているとか。他にも沢山あると思います。
『ジョーカー』を観た人なら、とても楽しめる映画だと思います。
逆に『キング・オブ・コメディ』を観たら『ジョーカー』はもっと楽しめるでしょう。
もう一度、『ジョーカー』を観たくなりました。
作品
スタッフ・出演
監督 マーティン・スコセッシ
出演者 ロバート・デ・ニーロ ジェリー・ルイス
配給 アメリカ合衆国 20世紀フォックス 日本 松竹富士
公開 アイスランド 1982年12月18日 アメリカ合衆国 1983年2月18日 日本 1984年5月19日
上映時間 109分
製作国 アメリカ合衆国
言語 英語
関連
この映画が影響を与えたとされる映画『ジョーカー』
この映画と同様に『ジョーカー』に影響を与えたとされる映画 (ロバート・デ・ニーロ主演)
ロバート・デ・ニーロ出演
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